むち打ち症(頚椎捻挫)とバレーリュー症候群

重い頭部を細い首が支えています。交通事故などで強い衝撃が加わると首を痛めてしまいます。X線検査で頸椎に骨折や脱臼などの異常が見られなくても痛みは出ます。首の局所が痛むときは首の関節や筋肉・筋膜が痛んでいます。腕や指にしびれや脱力がでるときは神経も痛んでいます。めまいや吐き気、頭痛を伴う場合もあります。目、耳、のど、心臓などの症状が生じる場合は自律神経が影響を受けているためでバレーリュー症候群と呼ばれることがあります。

バレーリュー症候群の症状としては以下のようなものがあると言われます。

  • 内耳の症状:めまい、耳鳴り、耳詰まり
  • 目の症状:かすみ、疲れ、視力低下
  • 心臓の症状:脈の乱れ、動悸、息苦しさ
  • 咽頭部の症状:のどの違和感、嚥下困難
  • 頭部の症状:頭痛、頭重感、注意力散漫など

治療法は一般的な消炎鎮痛薬の使用にくわえて交感神経を落ち着かせる神経ブロック治療が行なわれます。

患者さんの一例をお示しします。

31才の女性の方でした。交差点で対向車に追突され翌朝から左の頚部から肩にかけて痛みが出ました。左の腕にしびれもでました。下向き作業がつらい状態でひどいと腕の力が入らなくなります。頭痛、吐き気、めまいが時々起こります。

消炎鎮痛薬を処方しましたがそれだけでは改善しないので週に一回の間隔で交感神経を落ち着かせるための星状神経節ブロックを行ないました。その後徐々に症状は改善し1か月後には頚部の痛みは消失しました。鎮痛剤の内服も必要なくなりましたので治療終了となりました。