世の中にはいろいろな病気があります。ほとんどの方はなにがしかの病気を患います。老衰で人生を全うする方はまれでしょう。
ガンのような病気になりますと必要な治療を行ない根治を目指しますが、根治しきれない場合もあります。大事なことは病気そのものを直しきることではなくいかに質の高い生活、苦しみの少ない穏やかな生活を続けていけるかです。「緩和ケア」とはそのような状況の中でつらい痛みや苦しみをとる医療のことです。多くはガン患者さんのケアの場合が多いですが、それ以外の病気の場合もあります。
病気療養が長くなったり人生の終わりが近づいているときには多くの人は住み慣れた自宅で暮らしたいと思うのは当然のことです。そのほうが病院にいるより患者さんはプライバシーが保たれ心が落ち着き家族も病院通いがなくなる分負担が軽くなります。
「在宅緩和ケア」という最後まで自宅で療養する仕組みを地域で整える努力がなされています。患者さんが心安らかに自宅で療養し家族が最期を看取るための支援をする仕組みです。最後まで看病することは家族にとって不安が大きいと思いますがその不安ができるだけ少なくなるよう援助します。病院にいるといろいろ制約を受け行動を制限されいろいろな管(おしっこの管や点滴など)がからだにつきます。そのような負担をできる限りなくし尊厳を保って最後を迎えられるように援助します。
在宅で最後を迎えるために必要な条件は、1)患者さんの覚悟、家族の覚悟 2)最後まで支える看取り人(家族、友人、隣人、ヘルパーなど) 3)死亡診断してくれる医師 が必要です。当院でもそのような援助ができるようにしております。